やがて、10代目になられるであろう田畑喩偉くんが、女将(彼にとってはおばあちゃま)に似合う帽子の絵を描いてくれました。
台紙に貼り付けて、私に持って帰るよう渡してくれました。

帰り際には
「帽子つくって、また来てね」と可愛く言うのです。
私も負けじと
「私がおばあちゃんになって、このお店に来たときは、お料理作ってね」と言いました。
それに致しましても老舗というのは、こういうことなのかと。
きちんとしたご挨拶はもちろんでしたが、彼が、奥に戻った時、
きっと私が帽子を作っている人だとお家の方から聞いたのでしょう。
再び、現れた彼の手には、ご家族の帽子がたくさん。
そして私を喜ばせようと一生懸命帽子の話をしてくれたのです。
お小さいながらにも、客の雰囲気を感じて、その場に相応しい話題を提供しているのです。
親御さんが教えたわけでもあるまいし、なかなか出来ることではないと感じました。

若女将の音符模様の絞りのお着物、おしゃれでした。
さてさて、私がおばあちゃんになったとき、自分の稼ぎで「鳥居本」さんに行けるよう頑張らなければ。
喩偉くん、待っててねー。

女優の田畑智子さんのご両親さまと。